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vol.9「NPO法人田縁プロジェクト」

キーワード #地域活動 #役割分担 #マネジメント #モチベーション

 NPO法人田縁プロジェクトは、糸島市を拠点に、稲作などの農業体験を通して、都市の人々と農山村を繋ぐ活動を行っている団体です。高齢化により休耕田が増えたことから、“まち”の人で棚田を守ろうと考え、20年前に発足。「米づくりサポーター」と呼ばれる会員が週末に農作業に参加し、収穫した農産物を購入できる仕組みを作り、現在は約150世帯が会員となっています。

 年間約80回の農作業に延べ約3,000人が参加する中で、会員管理は重要です。例えば、会員の保険に係る報告は、従来、紙に記録→Excelで集計→報告様式への記入と、複数のステップを踏んでいたのですが、Excelで作った独自のプログラムを活用して一気通貫で行えるようにしました。この仕組みは、事務だけでなく現場も知っているスタッフが担当することで、整えられました。また、お米の購入予約や支払い状況を、会員自身がオンライン上で確認できる仕組みも作りました。この仕組みは事務の効率化に留まらず、「会員は“お客様”ではなく、棚田を一緒に守る仲間である」という意識の醸成にも繋がっているように窺えました。

 新規会員には米作りのスタートである種蒔きに参加してもらうほか、年に1回以上の農作業への参加を会員の条件としています。また、毎回の作業前に作業内容やその意味を説明しています。作業の意味を理解し、四季を通して体験し、“自分たちで作ったものを食す喜び”を共にすることで、活動により深く携わるメンバーが増えているようです。
 
 事務局は3名ですが、その他に「でんえん隊」という農作業やイベントの運営を支えるメンバーが14名います。実は全員、元々米づくりサポーターの方。数年一緒に活動し、状況や活動への思いなどを把握したうえで、役割をお願いしているとのこと。でんえん隊の方は多い人で月10回ほど参加し、トラクターなど農業機械を使った作業や会員の様々なお世話等を担いますが、活動回数が増えることは、むしろ喜ばれるそうです。

 年月を共にし、個々人に目を配り、その人に合う役割をお願いすることで、引き受けた人が生き生きと活動する。人も農業も何か通じるものがあるように感じました。

  NPO法人田縁プロジェクト

文責 相談員/鳥居亜佑美