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vol.11「NPO法人BSケア」

キーワード #リモートワーク #組織体制 #財務 #ウェブサイト

 NPO法人BSケアは、赤ちゃんの母乳吸啜メカニズムに基づく乳房ケア(BSケア®)を通した、母乳育児支援を行っています。2002年に助産師有志でBSケアを開発、任意団体として普及活動を続けたのち、2019年にNPO法人となりました。全国に約100名いるケアの技能を習得した助産師(BSケアプレゼンター® 以下、プレゼンター)が、各地域でケアや講習のほか、母親が無料で参加できる「母乳育児なんでも相談会」等を行っています。

 今でこそITツールを活用した遠隔勤務は広く普及していますが、創業時から事務局は長野・熊本・千葉に各1名という遠隔体制でのスタートでした。話し合う機会が少ないからこそ、雑談等も含めたコミュニケーションを重視しています。他方で、担当者に関係のあるテーマに話が集中することも考慮し、事務局会議は全員で話し合うのではなく、担当業務別に2つのグループに分け、事務局長1人が両方に参加するという体制に変更しました。

 当初は、日々の事務作業等にあたる事務局の全員が理事を兼ねていたこともあり、現場のルール作りなど、全ての意思決定に事務局が関わっていました。現在は理事を兼ねないスタッフもいる中で、事務局がその役割以上の業務を引き受けてしまわないような仕組みとして、理事長・副理事長を中心とした運営委員会を立ち上げました。さらに、理事と有志のプレゼンターからなる委員会を立ち上げ、その委員長である理事を中心に意思決定を行うことで、事務局の負荷を軽減するとともに、現場の知見を活かした事業運営が行えるようにしています。
 ただ、プレゼンターの本業は助産師で、必ずしも財務等のビジネススキルに長けている訳ではありません。そのためプレゼンターにも収支の感覚を持ってもらえるよう、事務局は、年度途中に各委員会の収支状況を報告したり、1か月に1回管理費を含めた収支状況を理事会に報告したりするなど、必要に応じてサポートを行っています。

 また、BSケアを学びたい助産師も、ケアを受けたい母親も、必要な情報にアクセスしやすいよう、昨年度ウェブサイトをリニューアルしました。年代によって“見やすさ”の感じ方は異なる点もありますが、例えばスマホで見やすいレイアウトにする、コンテンツの階層は深くしない、といった工夫をしています。

 プレゼンターは将来的に200名に増やし、BSケアの技術と理念を将来に繋いでいきたいと語ります。その基盤作りとして、内部コミュニケーション・組織体制・広報など、あらゆる側面で現状に満足せず、改善を積み重ねられている姿が印象的でした。
 

  NPO法人BSケア

文責 相談員/鳥居亜佑美